2013年3月21日木曜日

実験工房展の巡回先



 
 
写真は、鎌倉館の1階、彫刻室の展示風景です。

実験工房展は、このあと次の美術館に巡回します。
 
 
いわき市立美術館
2013420(土)―62(日)
 
富山県立近代美術館
2013713(土)―98(日)
 
北九州市立美術館分館
2013105(土)―1110(日)
 
世田谷美術館
20131123(土)―2014126(日)
 

2013年3月19日火曜日

実験工房展 今週日曜日で終了です

 
2月に展示替えをして、福島秀子のグワッシュ、駒井哲郎の版画などが入れ替わりました。また、北代省三の写真版画が新たに展示されています。
 
実験工房の結成と同じ1951年に開館した鎌倉館。
同じ時代を生きてきた鎌倉館の建物で本展覧会を見られる機会をお見逃しなく、
ぜひ鎌倉館にお越しいただければと思います。
 
 
 
実験工房にまつわるコトバ解説>> Ⅱ.「実験工房の時代」 1951-1957 展示より
写真版画
一つは、薄紙に描いたデッサンをネガとして印画紙に密着焼き付けする、というフォトグラム的な手法によるもの。もう一つは、カメラで多重露出により撮られたネガを、それとはまた別のネガと重ねあわせて焼き付けるなど、イメージが服装的に干渉しあう状態を作り出し、印画紙上に定着させていくもの。
 
「風の模型―北代省三と実験工房」展(川崎市岡本太郎美術館、2003)カタログより引用 大日方欣一「北代省三の写真」 

2013年2月28日木曜日

3月10日 ミュージック・コンクレート/電子音楽オ―ディション 再現コンサート(レクチャー付)





写真は、「ミュージック・コンクレート/電子音楽オーディション」の会場写真(撮影:大辻清司、会場構成:山口勝弘)1956/2012年 武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵 です。

 

310日に、ミュージック・コンクレートの再現コンサートを、鎌倉別館で開催します。

 

〈ミュージック・コンクレート/電子音楽オーディション〉再現コンサート(レクチャー付)

◆日時:2013310日(日)午後230分-午後4
◆会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館 展示室
◆講師:川崎弘二(電子音楽研究)
◆音響:有馬純寿

※申込不要、無料。ただし展覧会の観覧券が必要です。

 

 

実験工房にまつわるコトバ解説>> Ⅱ.「実験工房の時代」 1951-1957 展示より

〈ミュージック・コンクレート/電子音楽オーディション〉

実験工房の主催、現代芸術研究所の協賛により、芥川也寸志、柴田南雄、黛敏郎が招かれ、それまでにラジオ局から放送されたテープ音楽を中心とするコンサートが開催された。プログラムの巻頭には現代芸術研究所を主宰する岡本太郎が寄稿しており、同研究所の活動がこのコンサートの実現に大きな貢献を果たしたものと考えられる。林光が「日本最初の、演奏家のいらない音楽のコンサートであったというだけでなく、これらの方向が現代音楽一つの潮流として動かしがたいものとして存在するということを、はっきりと証明した」と述べているように、このコンサートは実験工房の活動の中でも特に影響力の強いものであった。会場にはロープによる空間構成が山口勝弘により行われ、客席に向かっては「拷問部屋みたいなサーチライト」(安部公房)が照射された。

 
195624日 山葉ホール
〔上演作品〕
芥川也寸志〈マイクロフォンのための音楽〉
黛敏郎〈ミュージック・コンクレートのための作品X-Y-Z
武満徹〈ルリエフ・スタティク〉
鈴木博義〈試験飛行家W-S氏の眼の冒険〉
柴田南雄〈立体放送のためのミュージック・コンクレート〉
黛敏郎〈電子音楽 習作Ⅰ〉

 

2013年2月7日木曜日

私の音楽は、実験工房の体験なくしては、ありえなかった。 ―武満徹




<実験工房>は、いまでこそそれに類したグループ活動もさほど珍しくもないが、結成の当時は、一般には、かなり奇異なものに映ったようだ。日本の文化状況は閉鎖的なものだったし、ジャンルを超えた結びつきに、誰しもが疑わしげな、それでいて好奇に充ちた目を向けていた。私たちの結束を支えた大きな力は、言うまでもなく、詩人瀧口修造の存在だった。海藤日出男氏の発案が契機となって<実験工房>は生まれたが、実際の表現活動以上に、瀧口氏から与えられる創造の啓示に、私たちは一様に精神を開き、その結束も深めたのだった。いまはそれがとても懐かしいものとして思いかえされる。

 私の音楽は、<実験工房>の体験なくしては、ありえなかった。真に精神の師匠(パトロン)と呼べる存在に出会えたこと、そして、互いに切磋琢磨しあえる友たちに巡り合えたことの幸運を思わずにはいられない。

 

                  『第11回オマージュ瀧口修造 実験工房と瀧口修造』
                   (199178-31日、佐谷画廊)カタログより引用





 

学芸員から>>《遮られない休息―瀧口修造の詩による》など、貴重な直筆の楽譜も展示しています。
 




 
 

写真を撮影したのは北代省三。
写真ににうつっているのは、左から谷川俊太郎、秋山邦晴、武満徹、武満浅香。
 
「鎌倉散歩」は、「作曲家訪問 武満徹」(文:谷川俊太郎、『シンフォニー』19576月号)のために撮影されました。
 当時、武満徹・浅香夫妻が住んでいた鎌倉を、谷川俊太郎、秋山邦晴、北代省三が訪ね、5人で段葛、鶴岡八幡宮、神奈川県立近代美術館、江ノ島をめぐり、武満の自宅へと
向かいました。
 
 
 この作品は鎌倉館の1階でみることができます。
 
                                       北代省三「鎌倉散歩」より 1957年 デジタル上映
                                       川崎市岡本太郎美術館蔵 映像制作:Todoroki_lob


 
 

APN




上の写真は、構成:山口勝弘/撮影:大辻清司「APN」(『アサヒグラフ』1953121日号)のための構成 1953年 です。図録の表紙にもなっています。

本展で、APNは、オリジナルのゼラチンシルバープリントと掲載誌が全部で61点展示されています。

 

学芸員から>> APNは、展覧会図録にも所収していない作品も多数展示しています。

 

下の写真は、構成:山口勝弘/撮影:大辻清司「APN」(『アサヒグラフ』195317日号)のための構成 1953年 です。
 
 
 
 
 


実験工房にまつわるコトバ解説>> Ⅱ.「実験工房の時代 1951-1957」展示より

APN (あぷん)

 Asahi Picture News3つの頭文字をあしらったオブジェを造形作家が構成し、これを写真に撮り、週刊グラフ雑誌の誌面上でコラム欄のタイトル・カットとして毎号週替わりに登場させる―朝日新聞社発行の『アサヒグラフ』で1953年の年頭から展開していくこの新鮮な企画は、当時の同誌編集長・伊沢紀(いざわ・ただす 劇作家・飯沢匡)に相談を持ちかけられた新進美術家・北代省三の発案から始まった。当初、オブジェ制作は、実験工房の北代、山口勝弘、駒井哲郎に斎藤義重を加えた4名が担当、撮影は前衛美術に造詣の深い写真家・大辻清司が行うことになり、のちに勅使河原蒼風、長谷川三郎、浜田浜雄がオブジェ制作の担当に加わった。翌542月まで、全55回にわたって続いた。大辻は53年、実験工房に参加する。